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成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡

四川省の省都・成都から北西へ約50km。雄大な岷山山脈から流れ出る岷江(びんこう)に、「都江堰」はあります。紀元前256年頃、戦国時代の秦で蜀郡太守であった李冰(りひょう)とその子らによって構築されたこの水利施設は、「世界で最も古く、今なお活用されている無ダム式水利工程」 として世界遺産に登録されています。
成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡
堤防で水を無理にせき止めるのではなく、地形と水勢を巧みに利用して水を分け、土砂を排除し、灌漑を行う——この「自然と共生する」古代の英知が、肥沃な成都平原を「天府之国」(天の国の如き豊かな地)に変え、今日まで続く繁栄の礎を築いたのです。
成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡
ここは単なる史跡ではなく、二千二百年以上にわたり脈々と流れ続ける「生ける水利文明」の生き証人です。
成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡


 
1、都江堰の3大魅力

  1. 「深淘灘(しんとうたん)、低作堰(ていさくえん)」—— 今に伝わる古代の治水哲学: 都江堰の真髄は、複雑な現代技術ではなく、自然の理を見極めた簡素で深遠な原則にあります。李冰親子が提唱した「深淘灘、低作堰」(堰は低く作り、川底は深く浚えよ)という八字の教えは、 maintenanceの基本として今も守られています。これは、洪水時に余分な水と砂利を自然に排出し、適切な水量のみを耕地へ導くための智慧。頑丈なコンクリートのダムではなく、竹籠に石を詰めた「楗尾」(けんび)や「杩槎」(まさ)といった伝統工法を駆使したことで、環境への負荷を最小限に抑えながら、驚くべき持続可能性を実現しています。
  2. 三位一体の巧みな連携「魚嘴・飛沙堰・宝瓶口」: 都江堰の核心は、三つの主要工程が見事に連携する点にあります。
    1. 魚嘴(ぎょし): 岷江の流れの中に築かれた先端が魚の口のように見える分水堤。ここで河水は「外江」(がいこう)と「内江」(ないこう)に自然に分けられます。洪水時には6割、渇水時には4割の水が内江へ流れ込むように設計され、自動的な水量調節機能を備えています。
    2. 飛沙堰(ひさえん): 内江の余分な水と、なんと重量数百キロにも及ぶ巨石さえも外江に排出するように設計された排砂・溢水口。河道のカーブが生み出す環流の力を利用したこの「ブラックホール的」な仕組みは、古代の「黒科技」(高度な技術)と称賛されます。
    3. 宝瓶口(ほうへいこう): 玉垒山(ぎょくりざん)を切り開いて作られた、成都平原への入り口となる水路。その幅は厳格に制御され、成都平原へ流れ込む水量を最終的に調整する「蛇口」の役割を果たします。
  3. 水利施設を超えた、山水と人文が調和する風景: 都江堰は、機能美だけを見るにはあまりにも美しい場所です。「拜水都江堰,問道青城山」(水を拝むは都江堰にあり、道を問うは青城山にあり) という言葉が示すように、水利施設は周囲の山々や森と見事に調和しています。岷江の水が轟音を上げて流れ、古代の楼閣が緑濃い山腹に点在する光景は、まさに一幅の絵巻。安瀾索橋(あんらんさくきょう)から望む内外江の分流や、二王廟(におうびょう)から見下ろす工程全体の眺めは、訪れる者に深い感動を与えます。

成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡


 
2、最適な観光プラン

  • ベストシーズン: 一年中楽しめますが、特に春(3月~5月) と秋(9月~11月) は気候が穏やかで、緑が美しく、水量も豊かです。4月初旬には、古式にのっとり杩槎を切り離して水を放つ伝統行事「放水節」が開催されることもあり、古代の治水文化を体感するまたとない機会となります。
  • 理想の時間帯:
    • 午前中は光線が景色をくっきりと照らし出し、写真撮影に最適です。
    • 夕方は斜光が古代の建造物や水面に柔らかな影を落とし、より一層風情ある景観を楽しめます。
  • アクセス: 成都市内からは地下鉄や観光バスで約1時間~1時間半と便利です。また、日本語ガイド付きツアーも利用でき、工程の仕組みや歴史を深く理解することができます。

成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡


 
3、フォトグラファーとSNS映えした写真を狙う方へ

歴史と自然が織りなす絶好の被写体に満ちています。
  • 定番ショット: 二王廟や秦堰楼からの展望で、魚嘴を中心とした三大工程の全景を一枚に収めましょう。安瀾索橋から流れのパノラマを撮影するのもおすすめです。
  • ユニークな構図: 飛沙堰の水しぶきや、宝瓶口の狭さと激流のコントラストに注目。細部をクローズアップすることで、古代技術の精巧さを伝える写真が撮れます。
  • 光と水を活かす: 夕暮れ時の「マジックアワー」には、金色に輝く水面と、ライトアップされ始めた建築物のコラボレーションが幻想的な世界を創り出します。

成都・都江堰(とこうえん) ── 二千年前の治水智慧が息づく、世界最古の生ける水利奇跡


 
4、おすすめの旅行者タイプ

  • 歴史好き・古代技術に興味がある方 ★★★★★ 二千年以上前に設計された、現代に通じる高度な治水技術とその持続可能性に、きっと感嘆することでしょう。
  • 家族旅行・社会科見学を兼ねた旅行 ★★★★☆ 壮大な自然と歴史の中で、持続可能な社会のあり方を考えさせられる、貴重な学びの場となります。
  • 写真愛好家・SNS発信者 ★★★★☆ 機能美と自然美が融合した、他では味わえない風景が広がります。
  • のんびりと山水の風景を楽しみたい方 ★★★★☆ 悠久の歴史が刻まれた水利施設と、雄大な自然が調和した空間は、心を落ち着かせてくれます。
「二千年前の英知が生んだ、今も生きる水利遺産をこの目で見たい」「自然と共生する人類の技術の結晶に触れたい」「雄大な岷江と美しい山々に囲まれた、歴史ある風景の中に身を置きたい」—— 都江堰は、そんな思いを叶え、訪れる者に深い感銘と畏敬の念を抱かせることでしょう。
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