四川といえば、麻婆豆腐や担担麵を思い浮かべる方も多いですが、成都の街角で生まれたもう一つの名物が「夫妻肺片」です。

これは牛肉と牛の内臓を香り高い調味料で和えた前菜で、その名の通り夫婦が築いた愛の物語が込められています。

現在では四川を代表する料理の一つとして、2018年には「四川十大经典名菜」に選ばれ、アメリカの雑誌『GQ』で「最高の前菜」として紹介されるなど、世界中で高い評価を受けています。

1、夫妻肺片の3大魅力
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深遠なる味わいのハーモニー: 夫妻肺片は、牛肉や牛のタン、ハツ、ミノ、頭皮などさまざまな部位を丁寧に煮込み、スライスして調味料と和えます。花椒の痺れるような麻、辣椒の爽やかな辣、ごま油の香り、醤油の深いコクが絶妙にブレンドされ、一口で四川料理の真髄を味わうことができます。見た目も鮮やかで、仕上げに振りかけられるごまやピーナッツが食感と風味のアクセントとなっています。
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「夫婦」の愛と工夫にまつわるストーリー: この料理の最大の魅力は、その名前に込められた温かい物語です。1930年代、成都の郭朝華(かく ちょうか) とその妻張田政(ちょう でんせい) は、牛肉屋であまり人気のない部位(当時は“廢片”=廃棄部位と呼ばれた)を安く仕入れ、工夫を凝らして調理し、籠に入れて街中で販売していました。夫婦で助け合いながら作る美味しい料理は評判を呼び、いつしか「夫妻の肺片」と呼ばれるようになりました。当初は牛の肺も使用されていたようですが、後に廃止され、名称だけが今日まで受け継がれています。
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歴史ある成都の「市井の煙火」: 夫妻肺片のルーツは、清朝末期の成都の街角にまでさかのぼります。当時、成都の路地裏では、担いだ籠や籠で涼拌の牛の肺片を売る行商人が多く、これは「両頭望」または「盆盆肉」と呼ばれ、人力車夫や学生など庶民に親しまれていました。郭朝華夫妻はこの伝統を受け継ぎ、さらに味を進化させたのです。つまり、夫妻肺片は成都の市井(庶民の生活)の「煙火」(活気ある生活氣息)を今に伝える、生きる文化遺産なのです。

2、最適な観光プラン
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ベストシーズン: 四川盆地は湿度が高いため、汗をかいて暑さを吹き飛ばしたい夏が特におすすめです。ただし、一年中楽しめる味わいです。
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理想の時間帯: 食前酒や前菜として、あるいは軽い食事として、食事の最初に注文するのが一般的です。ビールや日本酒にもよく合います。
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アクセス: 夫妻肺片は、成都の多くの四川料理店や小吃店で気軽に味わえます。観光地として有名な寬窄巷子(かんさくこうし) などにも、この料理を提供する店舗が多数あります。

3、フォトグラファーとSNS映えした写真を狙う方へ
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定番ショット: 赤く輝く油とさまざまな食材のコントラスト、そして仕上げのごまやピーナッツ、香菜をトッピングしたものを上から撮影しましょう。
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ユニークな構図: 白いご飯やビールのグラスと一緒に写せば、食欲をそそる一枚に。茶色い陶器の器に盛り付けると、より一層レトロで成都らしい雰囲気を出すことができます。
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光と色彩を活かす: 自然光の下で、赤い油のツヤと食材の質感を引き立たせましょう。

4、おすすめの旅行者タイプ
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食文化・歴史好き ★★★★★ 成都の庶民文化と四川の食の歴史を深く知りたい方に最適です。
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辛い物好き・味の探求者 ★★★★★ 複雑で奥深い四川の「麻辣」の味わいを体感したい方にぴったり。
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SNS発信者 ★★★★☆ 鮮やかな色彩とユニークな物語が、フォロワーを引きつけるコンテンツになります。
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カップル ★★★★☆ 夫婦の愛と協力の物語にインスピレーションを受けることができる、縁起の良い料理です。
「本場の四川『麻辣』を味わいたい」「成都の路地裏の雰囲気を感じたい」「大切な人と愛の物語を共有したい」——夫妻肺片は、そんな思いを叶え、舌と心で成都の魅力を存分に味わわせてくれるでしょう。